2021年08月27日(2023年01月23日更新) 老後の暮らし
「老後の一人暮らしは退屈で孤独なのではないだろうか」と不安ではありませんか?
今はパートナーや子どもと一緒に暮らしていても、何かをきっかけに老後一人で暮らさなければならない時が訪れるかもしれません。
そんな時、1人で過ごす時間を楽しくする工夫が必要になっています。
この記事では孤独がもたらす影響や、一人暮らしを楽しむためのアイディアについてご紹介していきます。
目次
老後に一人暮らしをする人の数は年々増えてきています。
2019年に厚生労働省から発表された「国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、単独世帯は28.8%と約3割を占めます。
割合の推移を見ても2017年は26.4%、2018年は27.4%といったように老後を孤独に過ごす「独居老人」は年々増加傾向にあるのです。
「何らかの理由で家族に頼れない」、「一緒に住んでいた家族は既に他界した」などの事情を抱えている人がいる一方、一人の生活環境に満足している人もいます。
ただ、「一人暮らしに不自由はない」、「特に問題ない」と考えていても、良い状態をいつまでも維持できるとは限りません。
孤独な老後はどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。
まず考えられるのは、栄養素の偏りです。
よく、スーパーのお惣菜コーナーでおかずを購入しているシニアの方を見かけませんか?
自炊が面倒くさい、という理由からスーパーのお惣菜で済ませる人は多いですよね。
それに、一人暮らしで1品ずつおかずを手作りするとなると、それはそれで意外と費用もかかるものなのです。
そういった手間や費用を考慮すると、自炊より惣菜やレトルトで済ませた方が賢明と考えるのも不思議ではありません。
もちろんお惣菜でも栄養バランスや塩分を考えて購入するなら問題ないですが、一人暮らしであれば、誰からも選んだメニューについて指摘されることがありませんよね。
そのため「食事ぐらい自分の好きなものを食べたい」と、自分の好物ばかりを手に取るようになる傾向にあります。
そして、結果的に栄養バランスの偏りが生じるのです。
バランスの悪い食事がすぐに体に影響を与える訳ではないですが、高血圧や糖尿病など色々な病気を引き起こす要因にはなり得ます。
また誰とも話さない日々が続くと、当然ながらコミュニケーション不足となります。
顔色や体型など見た目以上に気付きにくいのが内面の変化で、知らず知らずの間に老後うつや認知症を発症、進行させている可能性もあります。
うつや認知症といった症状は、会話をしている中で、相手が「いつもと雰囲気が違う」と感じた時に察知できるものなので、誰ともコミュニケーションをとらず一人で1日を過ごしていては、当然ながら気付いて貰うことはできません。
そして最終的には安否確認が出来ないという事態に陥るケースもあるのです。
では、老後の一人暮らしを、孤独を感じずに楽しく過ごすには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
ここでは、3つのポイントについてお伝えします!
まず、老後は仕事をしていた時とちがって、自由に使える時間が多くあります。
その時間をダラダラと目的なく過ごすのではなく、無理のない範囲で心地いいと感じられる生活リズムを作ることが重要です。
例えば、朝は散歩に出かける、この曜日には買い物に行く、何時にはお風呂に入る、などのルーティンを作ると、日々の生活にメリハリが生まれます。
人間は目的がないとどんどん生活が雑になっていってしまうため、定年退職後は特に、自分なりの生活リズムを作るようにしましょう。
好きなことや没頭できる趣味などがある人は、寂しいと感じづらい傾向にあります。
今までやろうと思ってできなかったこと、ずっとチャレンジしたかったこと、今だからこそできることなど、少しでも興味が湧いたことには、挑戦してみると良いかもしれません。
多く人が体感したことがあるように、楽しいことに取り組んでいると、時間があっという間に過ぎていきます。
また、趣味だけでなく、「学ぶ」ことも老後を充実させる大事なポイントです。興味のある分野の本を読んだり、資格取得を目指すのも良いでしょう。
趣味を見つけるのと同じくらい大事なことに「コミュニティに所属すること」があります。
もちろん、一人で楽しめる趣味も良いのですが、チームや趣味について話せる仲間がいることで、より孤独を感じづらくなったり、充実感を得やすくなります。
みんなでわいわい楽しめるスポーツやボランティアなども視野に入れてみると良いかもしれません。
一人暮らしは孤独、寂しいと思われがちですが、いくらでも楽しく過ごせる方法はあります。
ここからは一人暮らしを楽しむための10個のアイディアを紹介していきます。
趣味は、出歩いたり人とコミュニケーションをとる良いきっかけになり、趣味があるのと無いとでは人生の楽しみ方も変わってきます。
若い頃からの趣味を続けるもよし、何か新しいことにチャレンジするのも、また刺激になって良いものです。
旅行や体操、ヨガといったアクティブなものからカラオケ、料理教室など人と話をしながら出来るもの、絵画や俳句、ガーデニングなど一人でもじっくり取り組めるものなど、趣味もたくさんの種類があります。
興味が湧いてくるものから試してみると良いでしょう。
ボランティアや地域の活動は自分のペースで行うことが出来ます。
一人暮らしをしている人たちに対しての食事サービスや見守り、障害を持っている方のための手話や点訳、子供達の通学見守りや交通安全、自然を守るリサイクル活動など種類も多岐にわたります。
「自分が何かしらの形で社会に貢献している」という感覚は、生きる上でとても大事なエネルギー源となります。
ボランティアは何かしら随時募集しているため、前から興味のあった活動があるなら思い切って飛び込んでみても良いかもしれません。
ペットは1人暮らしの寂しさを癒してくれるよき存在であり、相棒ともいえるでしょう。
もちろんペットと会話は出来ませんが、愛らしい姿を見ているだけでも気持ちが和むものであり、実際にペットにはセラピー効果があると言われています。
若い頃は家族の許しが得られなかった、仕事が忙しくペットを飼う余裕が無かった人も、一人暮らしならば気兼ねなくペットを飼うことができます。
ペットと言えば犬や猫が代表的な存在ですが、犬を飼えば散歩の必要があり、必然的に自分も外に出る機会が多くなります。
また散歩が続けられるか不安な場合は猫やうさぎ、ハムスター、マンション住まいならインコや熱帯魚、メダカが比較的飼育しやすいペットといえるでしょう。
ゆっくり過ごすのも良いですが、毎日となると暇を持て余す可能性があります。
日々の生活にメリハリをつけたいと考えるなら、仕事をしてみるのも一つの方法です。
定年まで働いていた職場に再雇用制度があれば、仕事を見つけるのもスムーズですが、今の時代は人からの紹介や職安、新聞広告でも仕事を探すことが可能です。
シニアでは求人数が少ないというイメージを持たれがちですが、タクシー運転手や介護士、清掃員、警備員などは比較的高齢者の雇用にも積極的です。
仕事をすれば人とコミュニケーションをとり、体も動かせ、さらに少額でも生活費の足しになるというメリットもあります。
健康を維持するために運動は欠かせません。
適度な運動はストレス解消になり、続けると筋力も鍛えられ、自立した生活を送れるでしょう。
お金をなるべくかけたくない場合は、ウォーキングや自宅での筋トレ、ストレッチ、ヨガなどがおすすめです。
また、お金はかかりますがジムや市町村が運営している運動場は、地域の方と気軽にコミュニケーションが取れる場所としてとてもおすすめです。
一人暮らしの場合は、特に「コミュニケーション不足」が深刻な問題になりかねません。
人が集まる場所を積極的に利用して、コミュニティを広げておくと良いでしょう。
独り身でいる理由は人それぞれです。
死別もあれば離婚もあり、一度も結婚したことがない未婚の人も含まれます。
最初は独り身は楽だな〜と感じていた方も、歳を重ねるごとに1人で生きていくことが心細くなり、孤独を感じるケースは少なくありません。
ずっと一人で過ごしていくのが寂しければ、パートナーを探して一緒に人生を歩んでいくという生き方もあります。
パートナー探しは結婚相談所や婚活パーティーなどが便利で、焦らずじっくり探せば、自分と同じ趣味や嗜好、価値観を持つ人と出会って長いお付き合いができることでしょう。
またパートナーを作るといっても結婚にこだわる必要はなく、最近では籍を入れない「事実婚」を選ぶカップルも多いです。
SNSはネット上でメッセージのやり取りが出来るので、実際に会って話をしなくても画面上で会話楽しむことができます。
文章だけではなく、写真や動画の投稿も可能で、内容に共感した人からメッセージが送られてくることもあるので、面識がない人とでも繋がりを作ることが可能となっています。
最近では、インスタにお花や日常のちょっとした出来事を写真に収めてアップしている人や、自分の気持ちを日記感覚でブログに投稿している人が増えていますね。
SNSを通じて仲間が増えていけば、一人暮らしの寂しさからも解放されますし、単純にコメントやいいねなどの反応があると嬉しく感じ、SNSを趣味の1つとして楽しんでいる方も多いようです。
費用も特にかからないので、興味があるのなら気軽に始めてみると良いでしょう。
人恋しさを感じたり、多少なりとも健康面での不安があるなら、老人ホームを探して入居しても良いかもしれません。
常に誰かが近くにいる環境なので、突然体調不良が起こった際も安心です。
一人暮らしより自由が失われると懸念する人もいますが、老人ホームの中にも「介護付き」や「住宅型」、「健康型」などさまざまな種別があり、自分の身体の状態に合わせて自由に選択することが可能です。
ちなみに老人ホームでは様々なレクリエーションやイベントが行われているので、他の入居者とも交流する機会が多く、一人暮らしをしているよりお友達が出来る確率が高まります。
これは大きなメリットといえるでしょう。
財産相続や遺言の準備、身の回りの整理など、終活としてやるべきことはたくさんあります。
また、延命治療の有無や葬儀・墓の段取りなども明確にしておくと、残された家族に負担をかけずに済みます。
エンディングノートを活用すると、改めて自分の人生を振り返ることができ、残りの人生をどう生きていくのかについて考える有意義な時間となるため、おすすめです。
一人暮らしが寂しい、家族の温もりが欲しいと感じるなら、子どもとの同居という選択肢もありますね。
婿や嫁に気を使うのであれば、二世帯住宅を建てると良いでしょう。
部分的に共有する箇所はありますが、キッチンやトイレを別にすると、比較的お互いにストレスを感じずに生活することができます。
家族の中でも程よい距離感を保ちつつ、完全に一人では無いという安心感も得られるため、選択肢の1つとして検討する価値は十分にあるでしょう。
持ち家の場合には、二世帯住宅を建てることも可能です。
その場合は、リバースモーゲージを活用して二世帯住宅へとリフォームするという手もあります。
リバースモーゲージとは、自宅に住み続けながら融資が受けられる金融商品を指します。
金融機関によって異なりますが、毎月の返済は利息分だけですむことがほとんどであり、年金生活で老後資金にゆとりのない方にも安心です。
また、亡くなった際には担保となっているご自宅を売却し融資金額を返済するため、お子さんにも負担をかけることがありません。
人によって一人暮らしとなった事情は違うため、「一人の方が気楽でいい」と自らの意思で一人暮らしを選んだ人は悩みも少ないかもしれません。
しかし、仕方なく一人暮らしとなった人は、何かと不安になりがちです。
しかし、今回お伝えしたように、工夫次第で色々な楽しみ方を見出すことは可能です。
ぜひ、自分がこれから先どんなふうに毎日を過ごしていきたいのかを想像し、興味が湧いたら行動してみてくださいね。