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64歳と65歳以上とでは失業保険の給付方法や種類が変わるってホント!?

2022年06月20日(2023年01月24日更新) 老後の暮らし

64歳と65歳以上とでは失業保険の給付方法や種類が変わるってホント!?しかし65歳以上と65歳未満では、失業保険の給付金の名称や給付の方法などが異なるのをご存知ですか?

今回は、いざというときに備えて、それぞれの給付金について詳しくご紹介します。

失業保険とは?

失業保険は、正式な名称を雇用保険といいます。

雇用保険法に基づき1週間の所定労働時間が20時間以上などの適用基準を満たしていれば、業種や規模を問わず雇用保険の【被保険者】となります。

手続きは事業主が行いますが、雇用保険料は雇用者と事業主の双方が負担しており給与から源泉徴収票されています。

雇用保険に加入していれば、失業した際に基本手当を受給できます。

雇用保険は求職者が安定した生活を送りながら、早期の就職を可能にするために給付されるものです。

ただし、基本手当の給付には、離職前の2年間に12か月以上の被保険者期間があるなどの条件を満たす必要があります。

65歳未満の退職は「失業保険」、65歳以上は「高年齢求職者給付金」

失業保険の基本手当の給付は、65歳未満の人が対象です。

65歳以上の失業保険の被保険者が給付の条件を満たした場合には、高年齢求職者給付金が支払われます。

65歳以上になると給付の種類が変わるのは、【老齢年金】を受け取れるようになるからです。

高年齢求職者給付金は年金を受け取りながら受給でき、年金も減額されません。

失業保険の基本手当の給付と高年齢求職者給付金では、給付の条件が異なります。

基本手当の給付日数は、失業保険の被保険者であった期間と年齢、離職の理由によって決まります。

給付の期間は退職した日の翌日から1年間なので、申請の期限もこの期間です。

高年齢求職者給付金は失業保険の被保険者であった期間によって支給され、1年以上の場合は50日分が、1年未満の場合は30日分が一時金として一括で支払われます。

申請の期限は基本手当と同じで、退職した日の翌日から1年間です。

被保険者期間の考え方は、「離職の日以前の1年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が6か月以上あること」です。

つまり、離職の日以前の1年間に11日以上働いた月が6か月以上あれば対象になります。

64歳と65歳、いつ退職するのがお得!?

64歳と65歳、いつ退職するのがお得!?年収はその人がもらっている給与や年金などの総額となるため、失業保険の給付金のみで得か損かを判断することはできません。

失業保険はあくまで働く意思があるという前提で受け取るものなので、退職した人が働く意思がないのに失業保険の給付を受けると不正受給となり、不正に受給した金額の返還だけでなく大きなペナルティーを課せられます。

求職活動をすることが前提となるため、働く意思があるなら退職しないのが最もお得です。

64歳で失業した場合

ここではあくまで一例として、架空の人物Aさんの場合の失業保険の給付額を見て行きます。

Aさんは大学卒業後、定年の60歳まで同じ会社で働いていました。

定年退職後は、再雇用されて働いています。 1か月の賃金総額は30万円です。

失業保険の基本手当を計算するには、まず賃金日額を出します。

これは、退職前6か月間の賃金総額を日数(180日)で割ったものです。

Aさんの場合は30万円×6か月=180万円です。 これを180で割るので、賃金日額は1万円になります。 次に基本手当日額を計算します。

これは、賃金日額に給付率の45パーセントから80パーセントをかけたものです。

給付率は年齢や賃金によって異なり、Aさんは64歳なので表を見ると49パーセントになります。

1万円×49パーセントで、基本手当日額は4,900円です。

基本手当の総額は、基本手当日額に所定給付日数をかけたものです。

Aさんの場合は失業保険の被保険者の期間が20年以上ありますが、自己都合での退職のため所定給付日数は150日になります。

従って、4,900円×150日で基本手当の総額は73万5,000円です。

毎月の基本手当額は基本手当日額の28日分なので4,900円×28日となり、Aさんが失業すると総額が73万5,000円に達するまで毎月13万7,200円が支給されます。

65歳で失業した場合

続いてAさんが65歳で失業し、高年齢求職者給付金を受けとる場合です。

高年齢求職者給付金の場合も、計算には賃金日額が必要です。Aさんの賃金日額は1万円でした。

基本手当日額はAさんの場合、0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,030)÷7,360}×賃金日額という式に当てはめて計算する必要があります。

1円以下を切り捨てて計算すると、Aさんの基本手当日額は5,975円となります。

被保険者期間は1年以上あるので50日分で5,975円×50日となり、一括で29万8,750円を受け取ることができます。

従ってAさんの場合は、2か月以内に仕事が見つからなければ64歳で失業保険の基本手当を受けとる方が得することになります。

特別支給の老齢厚生年金を受給してる方の注意点!

特別支給の老齢厚生年金を受給してる方の注意点!特別支給の老齢厚生年金とは、1986年の年金制度改正の経過措置として厚生年金の加入期間が1年以上あり老齢基礎年金の受給期間(10年)を満たしていれば、申請により60歳から64歳までの老齢厚生年金が特別に支給されるものです。

男性の場合は昭和36年4月1日以前に生まれた人、女性の場合は昭和41年4月1日以前に生まれた人が対象です。

失業保険と老齢厚生年金の両方を受け取れるってほんと!?

結論からいえば、失業保険の基本手当と老齢厚生年金を同時に受けとることはできません。

老齢厚生年金の受給開始年齢は、原則として65歳です。

失業保険と老齢厚生年金を受けとりたいと考える場合には、特別支給の老齢厚生年金になります。

特別支給の老齢厚生年金を受給している人がハローワークで求職の申し込みを行うと、翌月から失業保険の受給期間が経過した日が属する月、または所定給付日数が経過した日が属する月まで年金が全額支給停止されます。

つまり、失業保険の基本手当を受給している間の年金は、支払われないということです。

失業保険の受給期間が経過すると再び年金が支給されるようになりますが、支払い開始のタイミングは3か月程度あとになります。

自分にとっていつ退職するのがベストなのか、慎重に考えよう!

自分にとっていつ退職するのがベストなのか、慎重に考えよう!失業保険の基本手当も高年齢求職者給付金も、求職活動をしている働く意思があると認められる人にのみ支給されます。

定年退職後に就職した会社を退職して別の会社に再就職する場合には、退職のタイミングというよりはなぜ退職しなければならないのかを考えましょう。

ハラスメントや長時間の残業など職場環境に問題がある場合は、弁護士に相談することもできます。

また、2025年4月からは、65歳定年制がすべての企業で義務となります。

高齢化社会となり国も定年退職後も働きたい人が働ける環境を整えようとしていますが、現段階では対策は思うように進んでいません。

ある調査によると、定年退職後に働いていない人の約46パーセントが、働く意思を持っていたにもかかわらず働いていない、という結果が出ています。

この調査では定年後に働いている人の6割以上がこれまで働いていた会社に再雇用され、グループ企業などを含めると7割が関連企業で働いているという結果が出ています。

勤務体系が変わらないと答えた人が多い一方で、年収は定年前の6割程度という回答が20.2パーセントで最も多く、次いで5割程度4割程度が続いています。

せっかく再就職できたのに退職するなら、慎重に時期を考えなければなりません。

失業保険の給付日数などではなく、働きながら就職活動をして次の仕事が見つかってから退職するのがよいでしょう。

この場合は失業保険の給付対象にはなりませんが、本当に働きたいなら失業保険などもらわずすぐ就職できるのがベストです。

本来退職は、労働者の一方的な意思表示で効力が発生します。

民法では期間の定めのない雇用契約は、解約の申し入れ後2週間で終了です。

会社独自の民法の規定とは異なる就業規則については見解が分かれるところですが、就業規則を確認しておくと円満な退社ができます。

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