作成日:2020.03.31 更新日:2022.04.14 老後資金の準備
人生100年時代や老後2,000万円問題というワードを耳にする機会が増え、「老後がなんとなく不安になってきた!」と考える人が最近増えてきています。
しかし、実際のところ老後資金にいくら必要なのか曖昧になっている方も多いはずです。
そこで今回は「夫婦」を対象に、必要な老後資金、毎月の支出入、そしてゆとりのあるセカンドライフを送る方法などについて解説していきます!
目次
人生100年時代とは、『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』の著者であるリンダ・グラットン教授が提唱した言葉です。
平均寿命が延び続けているため、このままだと100歳を超えて長生きすると予測されていることから、それによりこれまでとは異なる人生設計の必要がある、と言われています。
実際、日本人の寿命は確実に伸びており、戦後直後は50代だった平均寿命が、いまでは男女ともに80代に突入しています!
次に、厚生労働省が過去に発表している、男女の平均寿命を見てみましょう。
平均寿命が延びていることは一目瞭然ですね!
こちらを見てわかる通り、令和元年時点での平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳になっています。
長生きできるということは、仕事に追われて諦めていた多くのことに時間を割ける反面、老後のお金はその分多く必要になってくるのです!
老後2,000万円問題とは、「国から支給される年金だけでは老後の生活資金が足りず、2,000万円ほどの貯蓄がないと老後の生活資金が足りなくなる」と政府が公表した問題です。
老後に2,000万円が必要とされている根拠は実に単純で、老後生活が20~30年続き、収入が年金のみとなった場合、収入に対して生活に必要な支出が上回り、その金額が2,000万円という大きな貯蓄が必要となると言われているためです。
公益財団法人生命保険文化センター『令和元年度生活保障に関する調査』によると、老後生活に対する不安のベスト3は、以下の通りとなりました。
1,公的年金だけでは不十分
2,日常生活に支障がでる
3,退職金や企業年金だけでは不十分
これらのデータからも、老後の経済的な不安が大きな割合を占めることがわかりますね。
では、ここからは夫婦が老後生活を過ごすのに必要な資金についてお伝えしていきます!
ほとんどの方が老後の収入は年金に頼ることになると思いますが、40年間欠かさず国民年金を納めても、支払われる老齢基礎年金額は年間約78万円です!
月にして考えると、たった6.5万円程度なのです。
厚生労働省が発表したデータによると、ひと月あたりの平均年金受給金額は国民年金で約56,000円、厚生年金で約144,000円となっています。
年度 | 国民年金 | 厚生年金 |
---|---|---|
平成27年 |
55,157円 |
145,305円 |
平成28年 |
55,373円 |
145,638円 |
平成29年 |
55,518円 |
144,903円 |
平成30年 |
55,708円 |
143,761円 |
令和元年 |
55,946円 |
144,268円 |
参照元:令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省
上記が、一人当たりの月額平均年金受給額になります。
夫婦の場合には、年金の種類や雇用形態などによって受給額が異なりますので、注意しましょう。
※退職金が支給される場合は+1,000万~2,000万円程度
退職金は勤務していた会社や勤続年数によって大きな差があります。
また、退職金に関しては法律に規定が無いため、企業によっては退職金がないというケースもありますので必ず確認しておきましょう。
2019年の総務省の調査によると、二人以上の世帯での1か月間の平均生活費は約29万円という結果となりました。
内訳は下記になります。
参照元:家計調査年報(家計収支編)2019年|総務省
しかし、これには介護や葬儀費用といった特殊な費用は含まれていません。
また、住居費をみると17,094円となっています。
持ち家もしくは家族との同居の場合はこの金額で収まるかもしれませんが、賃貸住まいの場合にはこの金額で収めるのは難しいのではないでしょうか。
以上の点からも、出費はさらに増えると想定しておいた方が良いでしょう。
もしかしたら、出費は更に増えるのかもしれません。
人それぞれ収支のバランスは異なりますが、少子高齢化と言われる昨今で、収入源である年金が急激に増える可能性が少ないことは誰しもが予想できるはずです。
ここでは、実際に夫婦が老後生活していく際の収支を計算してみましょう。
前述している、データの内容から老後の収支の計算をすると、以下のようになります。
【夫が厚生年金加入者で妻が国民年金加入者の場合】
月間年金収入額:200,214円
二人以上の世帯の月間支出額:293,380円
つまり、月間の収支が
200,214円-293,380円=▲93,166円
月に約9.3万円のマイナス収支となります。
これを65歳から84歳までの20年間でみると 9.3万円×12ヵ月×20年=2,232万円
これが「老後2,000万円問題」と言われる所以です。
また、退職後から65歳までは年金が支給されませんので、この期間の資金も蓄えておく必要があります。
この他にも、介護資金や葬儀費用といったものを別で用意しなければならないと考えると、人によっては老後生活資金が更に必要になる可能性がありますね。
老後資金の準備の仕方は大きく分けて2つあります。
それぞれみていきましょう!
老後資金準備の方法の一つとして、定期預金などでコツコツ貯蓄をしていくという方法があります。
1980年代のように定期預金の金利が5~6%の時代であれば、利息でお金を増やすことはできました。
しかし、定期預金の水準が0.003%の低金利時代と言われている今の日本では、以前のように利息でお金を増やしていくのは難しくなりました。
よって、預金で老後資金を準備する場合には、利息を当てにせずに若いうちから老後の資金を積み立てていく必要があるといえるでしょう。
貯蓄型の保険で老後資金を準備する方法は、低解約返戻金型終身保険と個人年金保険の2つの商品が目的に合うかと思います。
低解約返戻金型終身保険とは、死亡と高度障害に対する保障が一生涯続く保険商品で、払込期間満了までの解約返戻金を抑えることで通常の終身保険よりも保険料が安くなります。
以下の図を見てわかる通り、払込満了後に解約返戻金が上がるため、保険料払込期間が終了し、ある程度の年数が経過すると払い込んだ保険料より多い金額が受け取れるようになることから、貯蓄に向いている生命保険です。
そして生命保険のため、払い込んだ保険料は「一般生命保険料控除」の対象となり、所得税で最大40,000円、住民税で最大28,000円の所得控除が適用され、税金の還付を受けることができます。
例えば総支払い保険料が1,000万円で解約時の返戻率が120%の場合、1,200万円を受け取れるということになります。
預金の利息でそこまで増やすことはできませんので、有効貯蓄方法といえます。
しかし、注意しなくてはいけないポイントもあります。
保障期間中に亡くなった場合、生命保険は死亡保険金が支払われて保険契約は終了になるため、貯蓄目的としては機能しなくなることと、保険料払込期間の満了前に解約した場合、払い込んだ保険料の総額よりも解約返戻金が少なくなることです。
その点も踏まえた上で加入を検討しましょう。
個人年金保険とは、ある一定の年齢まで保険料を払い込み、その後の決められた期間または一生涯にわたって年金が受け取れる保険です。
上記のイメージ図の場合、保険料払込期間が60歳までで、10年確定年金型です。
契約時から60歳までに払込んだ金額に運用益が加算され、その金額が60歳時点での年金原資になります。その年金原資をもとに10年間にわたって年金が受取れます。
保険料払込期間時に死亡した場合には今まで支払った保険料相当額が死亡給付金として支払われます。
年金受取期間中に死亡した場合は、遺族に残りの期間分の年金が支払われます。
保険商品や加入時期によって異なりますが、増額される金額は払込保険料の10%程度が一般的になります。
個人年金保険も条件を満たせば払い込んだ保険料が個人年金保険料控除の対象となり、所得税で最大40,000円、住民税で最大28,000円の所得控除が適用されます。
デメリットとしては、払込期間の途中で解約すると解約返戻金が少なく損をしてしまう可能性があることと、個人年金の利率は預金には勝りますがさほど高くないため、お金は大きく増えないなどがあります。
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、掛金を毎月積み立てて資産運用を行い、積立金や運用益を60歳以降に受け取ることができる制度です。
下記、イメージ図を確認して下さい。
メリットはなんといっても拠出した掛金全額を所得から控除ができることです!
しかし、運用益によるある程度の資金増加を期待することはできますが、急激に資産が増やすのは難しく、あくまでも投資商品のため元本割れのリスクがあります。
また、原則60歳まで引き出せないというデメリットもあります。
老後に持ち家があるとリバースモーゲージを利用することで、金融機関から低金利で老後資金を融資してもらう方法があります。
リバースモーゲージとは、住宅を担保に金融機関等から資金を借りる住宅ローンの一種です。
普通の住宅ローンと違う点は、住宅ローンを借りている間、元金の返済は不要で利息の支払いだけを行い、契約者死亡後に住宅を売却し元本を一括返済するということです。
(普通の住宅ローンとリバースモーゲージの異同点)
普通の住宅ローン | リバースモーゲージ | |
---|---|---|
担保 |
自己居住の建物に第一順位の抵当権を設定する |
左記に同じ |
毎月の返済 |
毎月、元本と利息を返済 |
毎月、利息を返済 |
金利タイプ |
変動金利、固定金利などを選べる |
金利変動のみ |
相続 |
家を配偶者や子に相続させることができる |
名義人(夫)が亡くなった後は配偶者(妻)にそのまま引き継げる金融機関が多い。しかし子への相続はできない。 |
持ち家があると、老後の住居費を低く抑えることが出来る上に、老後資金が足りなくなった場合に自宅に住みながらお金を工面できるのですね。
先ほど紹介した、持ち家を活用して資金調達を行うリバースモーゲージ。
しかし、「家は持ってるけど審査に通るか不安・・・」という方も多いはずです。
そこで今回は、老後資金の蓄えが少なくても利用できる「ゆとりの約束」をご紹介します。
ゆとりの約束とは、今までの暮らしを維持しつつ自宅の評価額をもとに老後資金が借りられる、老後資金に余裕がない方にも優しいリバースモーゲージ商品です。
三菱UFJ信託銀行が取り扱いしているので、安心感もありますよね。
セカンドライフとリバースモーゲージについて動画で説明します。(2分43秒)
そんなゆとりの約束のオススメポイントは、以下の5つです!
申し込みには70歳以上であること、一人世帯または夫婦世帯であることなどの諸条件があるものの、年収審査がなく資金を自由に使えて、毎月の利息返済がない点は、年金がメインになる老後生活にとって大きなメリットではないでしょうか?
また、相続人による返済は不要ということで、子どもに負担をかけることもありません。
さらに、他のリバースモーゲージは契約時に相続人全員の同意が必要なものが多いのに対し、ゆとりの約束は代表相続人1人の同意でOKなので契約のハードルもグッと下がります。
これまで様々なリバースモーゲージの商品を見てきましたが、ゆとりの約束は老後資金の確保はもちろんのこと、あとに残される配偶者や子ども・相続人の負担についても考慮された商品であるといえます。
という方は、一度「ゆとりの約束」を検討してみても良いかもしれません。
「ゆとりの約束」のポイントと活用例を動画で説明します。(5分15秒)
商品名 |
リバースモーゲージ信託「ゆとりの約束」 |
---|---|
対象年齢 |
70歳以上 |
対象地域 |
東京、埼玉、千葉、神奈川 |
対象物件 |
戸建住宅 |
資金使途 |
自由 |
年収制限 |
なし |
月々の返済額 |
なし |
2021年4月より、「ゆとりの約束」の対象地域が東京23区から東京、埼玉、千葉、神奈川に拡大されました。
それによって、より多くの方が「ゆとりの約束」を利用できるようになったのではないでしょうか。
お申し込み要件とご留意事項について動画で説明します。(4分15秒)
旅行やレジャーなどゆとりを持てるような老後生活を送ることには年金だけではなかなか厳しいことはもうお分かりですね。
ただ、持ち家を活かしてリバースモーゲージを利用すれば、老後資金にゆとりをもたせることができます。
持ち家であることが条件ですが、リバースモーゲージは私たちの老後の安心を提供するよりどころとなりそうですね。
不動産を活用した資産運用のコンサルティングを経験し、その後大手保険代理店で管理職を務める。
現在は独立系ファイナンシャルアドバイザーであるIFAとなり、ウェルスマネジメントとリスクマネジメントの両方の観点からコンサルティングを行う、お金の専門家として活動中。
⇒Youtube「お金の教育チャンネル」にて情報を発信